PC-9821 Note 改造 Q and A

2005/05/09 更新

 間違いや質問などがありましたら掲示板に書き込むか、K.Takataまでお知らせください。

目次

HDD 編

Q1.
 4GB の HDD に換装したらシステムインストールディスクによる再インストールができなくなりました。(「該当するハードディスクがありません。」といわれる。)
A1.
 機種によってはシステムインストールディスクでハードディスクのチェックをしている場合があります。そのような機種でシステムインストールディスクを使って再インストールを行うには、システムインストールディスクを修正する必要があります。
 システムインストールディスクには SENSEHD.EXE というファイルがあるはずです。これはハードディスクの容量を調べてその容量に応じたリターンコード (ERRORLEVEL) を返すプログラムのようです。またシステムインストールディスクには SENSEHD.EXE のほかに、SENSEHD.EXE のリターンコードと HDD の容量との対応関係が書いてあるデータファイルがあります。(PARTSIZE.DAT, SYSREST.INI などのファイル名になっています。) このデータファイルに 4GB 以上の HDD についての対応関係が書かれていないために再インストールができないのです。そこでこのファイルに自分で対応関係を書き加えてやると再インストールができるようになります。実際のやり方は DressingRoom entrance(「Tech-writing」→「お手軽パワーアップ工作室」)、なっくのホームページなどを参考にすると良いでしょう。
 SENSEHD.EXE のリターンコードを調べるには、システムインストールディスクで起動して、メニューを終了させ、 command /z と入力してから sensehd と入力しましょう。(/z は COMMAND.COM の隠しオプションで、これを指定すると外部コマンドを実行する度にそのリターンコードを表示するようになります。)

 NEC FIELDING の「サポートディスクの作成方法(ダウンロード)」にしたがって、サポートソフトをダウンロードし、システムインストールディスクを更新してください。
Q2.
 4.3GB より大きい HDD(6GB等)に換装したのですがメモリカウント後にハングアップしてしまいます。
A2.
 1997年 5月よりも前に発売された PC-98 は BIOS の制限により、最大で 8hed * 17sct * 65535cyl * 512bytes = 4563333120bytes ≒ 4352MB ≒ 4.25GB までの HDD しか使えません。それより大きな HDD を取り付けた場合は HDD を正しく認識できずにハングアップしてしまいます。これを俗に「4.25GB の壁」、「4.3GB の壁」などといいます。4.25GB超の HDD に対応していない機種で 4.25GB超の HDD を使う一般的な方法はありません。デスクトップならば、Melco の Advanced BIOS を使うことで、むりやり 4.25GB超の HDD を使うこともできますが、ノートで使う場合には(技術的、および著作権的に)問題があります。ノートで 4.25GB超の HDD を使えるようにする(おそらく)唯一の方法は BIOS を書き換えてしまうことです。(BIOS 書き換えについて知りたい方は nifty:FNECHARD へどうぞ。)
 一方 1997年 5月以降に発売されたほとんどの機種は 4.25GB超の HDD に対応しています。発売時期の違いによって 4.25GB超の HDD に対応しているかしていないかの違いがある例として Ls150 があります。1997年 1月に発売された Ls150/S14 model C/D と 1997年 5月に発売された Ls150/S14 model C2/D2 との違いはカタログ上ではプリインストールされているソフトのバージョンしかありません。しかし実際は、Ls150 C/D の方は 4.25GB超の HDD に対応していないにも関わらず、Ls150 C2/D2 の方は 4.25GB超の HDD に対応しているという違いがあります。(同様に Ls12 は 4.25GB超の HDD に対応していないが、Ls13 は対応している。)
 どの機種が 1997年 5月以降に発売されたかを調べるには ME's Self-Serving Propaganda にある「PC-98スペック一覧」を利用すると良いでしょう。

補足 HDD の壁に関する解説がまりものページPC-9821のハードディスク容量上限についてにあります。
Q3.
 4.25GB超の HDD に対応している機種を教えてください。
A3.
 La13/S14R を除く 1997年 5月以降に発売されたすべての機種が対応しているようです。
 具体的には、Ls13, Ls150 model C2/D2, Nr13/D14, Nr13/S14, Nr13/S14N, Nr13/S14R, Nr13/S14Z, Nr13/S1P, Nr150/S20, Nr233, Nr266, Nr300, Nw133, Nw150 がこれに相当します。
Q4.
 どのメーカーの HDD がいいのでしょう。
A4.
 2.5inch HDD を出荷している主なメーカーは IBM, Toshiba, Hitachi, Fujitsu の4社があります。
 まず価格に関しては、以前は IBM の HDD は他社のものに比べて割高でしたが最近は3社とも同じような値段になっています。場合によっては IBM のものがもっとも安いこともあります。
 次に消費電流に関しては、IBM は 500mA、Toshiba は 700mA、Hitachi は 530mA、Fujitsu は 550mA となっている製品が多いようです。当然 HDD の消費電流が少ないほどバッテリーも長持ちしますので、ノートパソコンをよく持ち運ぶような場合には IBM がおすすめです。
 動作音に関しては、Toshiba は IBM に比べてうるさいという話をよく聞きます。(Hitachi、Fujitsu はよくわかりません。) 音が気になる方は IBM の製品がいいかもしれません。
 本体との相性に関しては、メーカーの違いによるトラブルなどはほとんど聞いたことがありません。相性がどうしても気になる方は最初から内蔵されていた HDD と同じメーカーのものを選んだ方がよいかもしれませんが、基本的にはどのメーカーのものを選んでも構わないでしょう。
 パフォーマンスに関しては PC-98 で使う限りどのメーカーのものを選んでも大した差はないのではないかと思います。(PC-98 の内蔵 HDD インターフェイスは元々遅いですから。) 一応メーカーごとの特徴を挙げておくと、シークタイムは IBM のものが短いようです。バッファサイズは Toshiba のものが 1024KB となっていて、他社の2倍の容量があります。(ただし、最近発表された IBM の 32GB HDD は 2048KB となっていますが。) データ転送速度は メーカーよりむしろ HDD の機種(世代)によって違います。
 以上のことをふまえて HDD を選ぶとよいでしょう。(個人的には IBM がおすすめです。)


 この記述は時代遅れとなってしまいました。気が向いたら書き直すかもしれません。
Q5.1.
 8GB より大きい HDD(12GB等)に換装したのですが約 8GB までしか認識しません。(Win95/98, DOS)
A5.1.
 4.25GB超の HDD が使える PC-98 の場合、フォーマッタの制限により、16hed * 63sct * 16383cyl * 512bytes = 8455200768bytes ≒ 8063MB ≒ 7.87GB までしか認識できません。Win95/98, DOS では、EXIDE32G (旧EXIDE8G), TOMOE HOTARU, PTFMT98 のうちいずれかを使うことで 8GB以降の領域も使うことができるようになります。EXIDE32G は、新まりものページで公開されています。TOMOE HOTARU, PTFMT98 は、事実上入手不可能ですから、EXIDE32G を使うのが良いでしょう。(なお EXIDE8G は TOMOE HOTARU を参考にして作られたようです。)
 ちなみに FreeBSD(98) は 8GB以上の HDD も正しく認識できるようです。(私は、2.2.8R-Rev01 で 12GB の HDD が認識できることを確認しました。) おそらく FreeBSD(98) を利用して MS-DOS 領域を確保することもできるのではないかと思います。
Q5.2.
 8GB より大きい HDD(12GB等)に換装したのですが約 8GB までしか認識しません。(WinNT/2k)
A5.2.
 WinNT/2k の場合も Win9x と同様に、フォーマッタの制限により 8063MB までしか認識できません。しかし、A5.1. の方法を用いて Win9x で領域を確保してしまえば WinNT/2k からアクセスすることは可能です。他には TOMOE HOTARU または EXIDE8G を実行してから HSB を使って WinNT/2k インストールフロッピーから高速再起動させることでも、全領域使えるようになります。PTFMT98 は他の2つと動作原理が異なるため、この場合には使えません。
 なお、いずれの方法を用いても 8GB以降の領域に WinNT/2k をインストールすると、WinNT/2k の起動時にハングアップしてしまうという問題があります。そこで、毎回先に DOS を起動し TOMOE HOTARU または EXIDE8G を実行してから HSB を使って高速再起動すると WinNT/2k は問題なく起動します。(HSB を使わなくても済むように、IPL 版の TOMOE HOTARU, EXIDE8G の開発が行われているらしい。)


 EXIDE32G を使ってください。(EXIDE8G, TOMOE HOTARU, PTFMT98 はやめておいた方が無難です。)
Q6.
 HDD のねじ穴が合いません。
A6.
 2.5inch HDD のねじ穴には大きく分けて2種類あります。1つは俗に旧ねじあるいは内ねじといわれるねじ穴の間隔が 38.1mm のもので、もう1つは新ねじあるいは外ねじといわれるねじの間隔が 76.6mm のものです。日立の HDD には内ねじ、外ねじの両方に対応しているものもあります。
 比較的新しい機種には両方の HDD が取り付けられるように2種類のねじ穴があるのですが、La10 などは旧ねじ用のねじ穴しかないようです。

メモリ編

Q1.
 Ls150, Ls13, Ls12 の最大搭載可能メモリはどれだけですか。また、どのメモリを選べばよいのでしょうか。
A1.
 NEC の公表しているデータによるとこれらの機種の最大搭載可能メモリは 48MB となっています。しかし実際には、これらの機種は最大 80MB のメモリを搭載できます。(Ls のチップセットは 430MX でこのチップセットの認識可能メモリは 128MB。) どうもこれは NEC 純正の 64MB メモリは基板のサイズが大きくてこれらの機種のスロットには入らなかったので、最大搭載可能メモリが 48MB となっているのではないかと思われます。
 さて、メモリの交換の際には、Ls 対応と明記された 64MB メモリはありませんので、どのメモリがいいかという問題が出てきます。
 IO-DATA から以前 Nr64-64ME という製品が出ていましたが、これはロットによっては基板サイズが大きいために Ls では使えないという話を聞きます。(真偽のほどはわかりません。) その後 Nr64-64MP という製品が出ていましたが、こちらも一部基板サイズの大きいものがあるという話があります。PC98-NX 用である NX646-64MP と、現在出ている NX646-64MU は基板サイズはすべて Ls で使える大きさのようですから、これらを使うのがよいでしょう。
 メルコの NX8-64M は 48MB しか使えないようですので注意してください。
 IO-DATA のメモリが高いという方は、ADTEC の ADV-S64M144E や ADN-S64MNr がいいでしょう。ADTEC のメモリを使っている人は IO-DATA のを使っている人に比べてかなり少ないようで、情報も少ないのですが問題ないと思います。(カタログによると ADN-S64MNr は Ls に対応しているようです。)
 ADTEC のメモリでもまだ高いという方は GREEN HOUSE の GH-EX64M や GH-NR64M を使うという手もあります。ただ、私の場合 GH-EX64M を使ったのですが、サスペンドしようとしたら黄色い文字で RESUME FAILURE と表示されて再起動してしまうというトラブルが発生しました。これはセルフリフレッシュのメモリを Ls で使ったときの症状だそうです。あとで修理に出したら正常に使えるようになりました。GH-EX64M には Ls で使えないロットがあるのではないかと思います。

 ADTEC の ADV-128M144E など 128MB の EDO S.O.DIMM も存在しますが、これを Ls に取り付けても全部で 80MB しか認識されませんので注意してください。
 Ls のメモリ交換に関しては98ノート用メモリ対応表2エマティなリサイクル)、Tatsuki's Homepage などを参考にすると良いでしょう。
 新品のメモリを購入する場合は VERTEX MEMORY の VND-N64M が良いと思われます。
Q2.
 La13 の最大搭載可能メモリはどれだけですか。
A2.
 NEC の公表しているデータによると La13 の最大搭載可能メモリは 48MB となっています。しかし実際には、La13 は制限はあるものの最大 144MB のメモリを搭載できます。(La13 のチップセットは 430TX でこのチップセットの認識可能メモリは 256MB。)
 メモリの 80MB 化については上記 A1. を参照してください。
 メモリの 144MB 化を実現するには 128MB の EDO S.O.DIMMが必要となりますが、128MB の EDO S.O.DIMMを出しているメーカーはほとんどありません。ADTEC の ADV-128M144E や VERTEX MEMORY の VND-128M を使うことになるでしょう。
 144MB 化を行った場合サスペンドが使えなくなるようですので注意してください。
Q3.
 Nw150, Nw133 の最大搭載可能メモリはどれだけですか。
A3.
 NEC の公表しているデータによるとこれらの機種の最大搭載可能メモリは 64MB となっています。しかし実際には、これらの機種は 128MB のメモリを搭載できることが確認されています。
 メモリの 128MB 化については上記 A1. を参考にしてください。A1. との違いは Ls の場合 64MB を1枚しか取り付けられないが、Nw は2枚取り付けられるという点です。
 128MB * 2 で 256MB 化も一応可能なようです。しかし、サスペンドが使えなくなってしまうようです。BIOS が 128MB の S.O.DIMM には完全対応していないのではないかと思われます。(チップセットは対応している。)

クロックアップ編

Q1.
 Ls150, Ls13, Ls12 のクロックアップはできますか。
A1.
 これらの機種のうち Ls150 と Ls12 はベースクロックが 60MHz、Ls13 は 66MHz となっています。Ls150 と Ls12 はベースクロックを 66MHz に変更してやることで比較的簡単にクロックアップが可能です。ただしノートパソコンはデスクトップとは違いジャンパーで簡単にクロックを変更することはできません。半田付けの経験は必須です。 yo-shiの休憩所などを参考にすれば、Ls150 と Ls12 をそれぞれ 166MHz, 133MHz で動作させることは簡単にできるでしょう。一方 Ls13 はベースクロックは既に 66MHz となっていますので、クロックアップするには倍率を変えてやる必要があります。倍率の変更方法はPC-9821Ls150 のオーバークロック方法を見てください。
 さらなるクロックアップにはベースクロックを 66MHz からさらに上げる方法があります。ベースクロックは SC484 (or SC464) という PLL-IC によって生成されているのですが、ベースクロックが 66MHz となっている状態で SC484 の 11pin を浮かせるとベースクロックが 80MHz になるのです。つまり Ls150 は 200MHz、Ls13 と Ls12 は 160MHz で動作することになるのです。ただこれを行うと CPU が壊れることもある大変危険な改造です。(実際に CPU を壊してしまった人がいるようです。) 放熱を十分に考え、場合によっては電源容量を増やす必要があるでしょう。より詳しい説明は、PC-9821Ls150 のオーバークロック方法を見てください。
Q2.
 Nw150 のクロックアップはできますか。
A2.
 Nw150 は上記の Ls150 と同様にベースクロックを 66MHz に変更してやることで比較的簡単にクロックアップが可能です。A1. にも書いたようにノートパソコンはデスクトップとは違いジャンパーで簡単にクロックを変更することはできません。半田付けの経験は必須です。 PCB-GAME-ROOM を参考にすれば、Nw150 を 166MHz で動作させることは簡単にできるでしょう。
 さらなるクロックアップにはベースクロックを 66MHz からさらに上げる方法があります。ベースクロックは SC484 (or SC464) という PLL-IC によって生成されているのですが、ベースクロックが 66MHz となっている状態で SC484 の 11pin を浮かせるとベースクロックが 80MHz になるのです。これについても PCB-GAME-ROOM に解説があります。
Q3.
 Nr15 のクロックアップはできますか。
A3.
 Ls150 や Nw150 となどと同様にベースクロックを 66MHz に変更することで 166MHz へのクロックアップができます。実際の方法は HIROMI'S HOME PAGE を参照してください。

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