ネットワークサポート付き MS-DOS モード

2002/07/22 更新

はじめに

 ここでは Win9x の MS-DOS モード(起動ディスク)でネットワークにアクセスできるようにする方法を解説します。この方法を使えば、CD-ROM ドライブのないノートパソコンに、ネットワークの先にある CD-ROM ドライブから Windows をインストールすることなどもできます。もちろん CABS セットアップと組み合わせるのも良いでしょう。
 使えるプロトコルは NetBEUI だけですが前述の用途にはこれでも十分でしょう。(実際には IPX/SPX も使えるようですが、割愛します。)
 なお、ここで説明している方法は http://www.magma.ca/~psharris/dos7_1.txt(英語)に書かれている内容が元となっていますので、こちらも参照しておくとよいでしょう。IPX/SPX を使いたい場合もこちらを参照してください。

環境の構築方法

 DOS でネットワークにアクセスしたい場合というのは、前述のように CD-ROM ドライブのないノートパソコンにネットワーク経由で Win9x などの OS をインストールしたい場合がほとんどだと思いますので、ここではそれを前提にして話を進めていきます。

用意するもの

  1. これから OS をインストールしようとするノートパソコン。(ここでは La10)
  2. 既に Win95 または Win98 がインストールされ、ネットワーク関連の設定もしてあるパソコン。(ここでは Ls150)
  3. DOS 用のドライバがある NIC(Network Interface Card)。(ここでは MACNICA ME1 for JEIDA と CyQ've ELA-110)
  4. 1.44MB フロッピー1枚。(1.25MB だと容量不足かも)
  5. PC カードサポートソフトウェア。(必要のない場合もあり)
  6. 必要に応じて Win95/98 の CD-ROM。

 1. のパソコンに取り付ける NIC は DOS 用のドライバがあるものでなければなりません。ただし、DOS 用のドライバにもいくつかの種類があります。NDIS2 ドライバ(MS LAN Manager 用ドライバ)が必要です。ODI ドライバ(NetWare 用ドライバ)は使えませんので注意してください。また当然のことですが、PC-98 で使うには PC-98 用のドライバがなければなりません。

環境の構築方法 / MACNICA ME1 for JEIDA の場合

 まず、sys コマンドでフロッピーにシステムを転送しておきましょう。

 次に、NIC のドライバをフロッピーにコピーします。ME1 for JEIDA の場合は、me1k98.dos というファイル名になっています。大抵の場合は、\ndis2 や \mslanman.dos などといった名前のディレクトリの中に入っているようです。

 さらに以下に示すファイルを Win9x のインストールされているディレクトリ (\windows) からフロッピーにコピーします。

    regedit.exe
    protocol.ini
    net.exe 
    net.msg
    neth.msg
    protman.exe
    protman.dos
    ndishlp.sys
    ifshlp.sys          おそらく不要
    emm386.exe          UMB や EMS を使わない場合はいらない
    himem.sys
    more.com            net コマンドのヘルプを見るときに便利 (\windows\command)

このうち、protman.exe, protman.dos, ndishlp.sys の3ファイルは見あたらないかもしれません。そのときは、Win9x の CABS ファイルの中からこれらのファイルを取り出す必要があります。
 まず、CABS ファイルがあるディレクトリに移動してください。CABS セットアップした場合は \windows\options\cabs ディレクトリということになります。HDD の中に CABS ファイルがないときは、Win9x の CD-ROM が必要です。CABS ファイルがあるディレクトリに移動したら、次のコマンドを実行してください。(Win95 と Win98 の場合で少し違います。)

    Win95 > extract /A /L a:\ win95_??.cab protman.* ndishlp.sys
    Win98 > extract /A /L a:\ net??.cab protman.* ndishlp.sys

?? の部分には、これに当てはまるファイルのうち一番値が小さいもの(win95_03.cab, net6.cab など)を指定してください。/A オプションを指定することで、連番になっている .cab ファイルを順に調べていって、必要なファイルを展開してくれます。上記のコマンドを実行すると protman.exe, portman.dos, ndishlp.sys が a:\ に展開されますので、これらのファイルをフロッピーにコピーしてください。

 PC カードサポートソフトウェアもフロッピーにコピーしてください。以下の説明では \pccard ディレクトリにコピーしたものとしてあります。

 以下に示した内容を dosnet.reg というファイルに保存します。矢印で示した部分は適宜書き換える必要があります。

dosnet.reg
REGEDIT4

[HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Network\Real Mode Net]
"transport"="*netbeui,ndishlp.sys" ← NetBEUI
"LoadRMDrivers"=hex:00,00,00,00

[HKEY_LOCAL_MACHINE\System\CurrentControlSet\control\ComputerName\ComputerName]
"ComputerName"="La10"           ← コンピュータ名(ユーザー名)

[HKEY_LOCAL_MACHINE\System\CurrentControlSet\Services\VxD\VNETSUP]
"ComputerName"="La10"           ← コンピュータ名(ユーザー名)
"Workgroup"="WORKGROUP"         ← ワークグループ名
"Comment"=""                    ← コメント
"Start"=hex:00
"NetClean"=hex:01
"MaintainServerList"="2"
"LMAnnounce"="0"

 protocol.ini の内容を以下のように書き換えます。DriverName=ME1K98$ の部分は、ドライバ名に合わせて適宜書き換える必要があります。大抵は NDIS2 ドライバが入っていたディレクトリに oemsetup.inf などといった設定ファイルがおいてあり、それを見れば DriverName が分かるはずです。多くの場合はドライバのベースネームの後ろに $ を付けたものになっているようです。

protocol.ini
[ndishlp$]
DriverName=ndishlp$
Bindings=NIC

[protman$]
priority=ndishlp$
DriverName=protman$

[data]
version=v4.00.1111              ← Windows のバージョン(Win95 OSR2 の場合)
                                   (Win98 SE では v4.10.2222)
[NIC]
DriverName=ME1K98$              ← ドライバ名

[NETBEUI$]                      ← NetBEUI
DriverName=NETBEUI$
sessions=10
ncbs=12
Bindings=NIC

 ここで現在作成中の起動ディスクから再起動してください。フロッピーから立ち上がって、プロンプトが表示されたら次のコマンドを入力してください。

    A:\>regedit /c dosnet.reg

これで、この起動ディスクに必要な最小限のレジストリが構築されます。HDD から起動した状態でこのコマンドを実行すると本体のレジストリが書き換えられてしまうおそれがありますので、必ずフロッピーから起動した状態で行ってください。(どうしても HDD から起動した状態でやりたい場合は必ず /l /r オプションを使ってください。)

 以下に示した内容を config.sys に保存してください。

config.sys
files=30
lastdrive=z
shell=\command.com /p /e:2048
dos=high,umb
device=himem.sys /testmem:off
device=emm386.exe /umb /e=dc00-dfff     ← なくても良い
;devicehigh=ifshlp.sys                  ← おそらく不要
devicehigh=\pccard\ssdrv.sys            ← PC カードサポートソフトウェア
devicehigh=\pccard\cs.exe               ←              〃
devicehigh=\pccard\csalloc.exe \pccard\csalloc.ini ←   〃
devicehigh=\pccard\css.sys                         ←   〃(なくても良い?)
devicehigh=\pccard\cardid.exe \pccard\cardid.ini   ←   〃(なくても良い?)
devicehigh=protman.dos /i:a:\
devicehigh=me1k98.dos                   ← ME1 for JEIDA のドライバ
devicehigh=ndishlp.sys

 以上で完成です。

環境の構築方法 / CyQ've ELA-110E の場合

 ELA-110E の場合も基本的に ME1 for JEIDA と同じようにすればよいのですが、ELA-110E には、(NIC 専用の)ポイントイネーブラが同梱されていますので、PC カードサポートソフトウェアを使う必要がありません。中古でサブノートパソコンを手に入れたが、PC カードサポートソフトウェアを持っていないために OS をインストールできなかったという人には朗報かもしれません。

 ELA-110E のドライバファイルは le100.dos となっています。これとポイントイネーブラ である lanen.exe をフロッピーにコピーします。(もちろん PC-98 用を使うこと) さらに net.exe, protman.exe などのファイルも ME1 for JEIDA の場合と同じようにしてコピーします。PC カードサポートソフトウェアはコピーする必要ありません。

 protocol.ini は以下のように書きます。ME1K98$ の部分を、LE100$ に書き換えただけです。

protocol.ini
[ndishlp$]
DriverName=ndishlp$
Bindings=NIC

[protman$]
priority=ndishlp$
DriverName=protman$

[data]
version=v4.00.1111              ← Windows のバージョン(Win95 OSR2 の場合)
                                   (Win98 SE では v4.10.2222)
[NIC]
DriverName=LE100$               ← ドライバ名

[NETBEUI$]                      ← NetBEUI
DriverName=NETBEUI$
sessions=10
ncbs=12
Bindings=NIC

 再起動してからレジストリを構築します。dosnet.reg は ME1 for JEIDA の場合と全く同じものを使います。

 config.sys は以下のようにします。

config.sys
files=30
lastdrive=z
shell=\command.com /p /e:2048
dos=high,umb
device=himem.sys /testmem:off
device=emm386.exe /umb /e=dc00-dfff     ← なくても良い
;devicehigh=ifshlp.sys                  ← おそらく不要
devicehigh=protman.dos /i:a:\
devicehigh=lanen.exe                    ← ELA-110E 付属のポイントイネーブラ
devicehigh=le100.dos                    ← ELA-110E のドライバ
devicehigh=ndishlp.sys

 以上で完成です。

ネットワークにアクセス

 以上のようにして作成したネットワークサポート付き起動ディスクでマシンを起動します。プロンプトが表示されたら、net view と入力してみましょう。共有リソース名が表示されます。
 なお、以下に示したように、起動後に最初に net コマンドを実行したときに、ユーザー名とパスワードを聞かれます。

A:\>net view

WORKSTATION サービスは開始されていません。
開始してもよろしいですか? (Y/N) [Y]:
ユーザー名を入力してください。
ユーザー名が LA10 の場合は Enter キーを押してください:
パスワードを入力してください:
ワークグループ WORKGROUP で利用できるサーバー
サーバー名             コメント  
-------------------------------------------------------------------------------
\\LS150                
\\RA20                 
コマンドは正常に完了しました。

 マシン "\\Ls150" の共有リソースを表示するには次のように入力します。

A:\>net view \\Ls150

\\LS150 の共有リソース

共有名       種類         コメント   
-------------------------------------------------------------------------------
BJC-430J     プリンタ     
CD-ROM       ディスク     
E            ディスク     
MO           ディスク     
コマンドは正常に完了しました。

 マシン "\\Ls150" の共有リソース "CD-ROM" を n: ドライブに割り当てるには、次のようにして net use コマンドを実行します。

A:\>net use n: \\Ls150\CD-ROM  
コマンドは正常に完了しました。

 これで La10 からは Ls150 の CD-ROM ドライブを n: ドライブとしてアクセスできるようになります。後は普通に CABS セットアップなどを行えばよいわけです。
 なお net view コマンドは特に実行する必要はありません。共有リソース名が分かっている場合は(普通はそうだと思いますが)、直接 net use コマンドを実行してもかまいません。

 net コマンドの詳しい使い方は、net help | more というように実行して調べてください。

参考リンク

後ろの3つのリンクは PC-98 では使えない方法ですが・・・。


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