2005/07/10 更新
ここでは Nw150, Nr150/20 などの Nw 型の筐体を使ったマシンのオーバークロック方法について解説します。具体的にはベースクロックの 66.6MHz 化、80MHz 化、クロック逓倍率の変更方法、原発乗っ取りについて説明します。
参考 Nw 型の筐体の機種には、Nw150, Nw133, Nr150/S20, Nr233, Nr266, Nr300 があります。
注意 半田付けの経験は必須です。ない人は出直してきましょう。
Nw 筐体を使ったマシンの内、Nw150, Nr150/S20 はベースクロックが 60MHz になっています。ここでは、これらの機種のベースクロックを 66.6MHz に上げる方法を説明します。
これらのマシンは、ベースクロック 60MHz となっており、これを CPU 内部で 2.5倍にすることで 150MHz で動作しています。このベースクロックを 66.6MHz に変更することで 166MHz にオーバークロックできます。そして、ベースクロックは SC484 というクロックジェネレータが 14.318MHz の水晶発振子を元にして作り出していて、これが 66.6MHz を出力するように設定を変更すればよいというわけです。
なお、66.6MHz 化をすると、ベンチマークでは速度向上を確認することができますが、それを体感することはほとんどできないでしょう。
実際の作業の説明に移ります。まず SC484 を見つけましょう。SC484 はマザーボードの裏側にあります。SC484 のそばには、2F11, 2F12 と書かれたランドがあり、2F12 には 10kΩ抵抗があり、2F11 には何も付いていない状態になっていると思います。(SC484 の 10pin が 2F12 でプルアップされている。) ここで、2F11 を半田でショートすると SC484 の 10pin は GND に落ち、ベースクロックは 66.6MHz になります。(あるいは、2F12 を外して、2F11 に移植した方が良いのかもしれないが、未確認。)
ベースクロックを 80MHz に変更することで、HDD のアクセスやグラフィックアクセラレータの描画速度などを大幅に向上させる方法です。ただし、クロック逓倍率を変更しないと周波数が高すぎて CPU が動かない場合がありますので、次節も合わせて参照してください。クロックジェネレータとして SC484 を使っている機種が対象です。(Nr300 などでは SC484 は使われていないらしいのでこの方法は使えないと思います。)
作業の説明に移ります。まず前述の方法でベースクロックを 66.6MHz に変更しておいてください。次に SC484 の 11pin を足上げしてください。SC484 のピッチは 0.65mm とかなり狭いですから注意してください。半田鏝で暖めながら、縫い針などを使って足を上げると良いでしょう。以上でベースクロックの 80MHz 化は完了です。
なお、私の Nr150/S20 では、80 * 2.5 = 200MHz にした場合は、Win2k の起動直後に BSoD (Blue Screen of Death) が出てしまいました。CPU のオーバークロック耐性はあまり高くなかったようです。
注意 SC484 の 11pin の足上げは慎重に行いましょう。ピンを折ってしまったら、ベースクロックを 60/66MHz に戻すことはできなくなってしまいます。またピンを何度も上げ下げしないようにしましょう。2度目に上げたら折れたという話をいくつか聞いたことがあります。
注意 IC のピンの数え方がわからない人や足上げの意味が分からない人は出直してきましょう。
Nr150/20 や Nw150 の場合、ベースクロックを 80MHz 化しただけでは (80 * 2.5 = 200MHz)、運が良くない限り動きませんが(特に Nw150)、クロック逓倍率を 2倍に落として 80 * 2 = 160MHz にすると、かなりの確率で動くのではないかと思います。160MHz だと、前述の 166MHz に比べて CPU の速度は若干落ちますが、逆に HDD のアクセスやグラフィックアクセラレータの描画速度などが向上します。とくに、HDD のアクセス高速化の効果は大きく、速度向上がはっきり体感できると思います。
というわけでクロック逓倍率を 2.5倍から 2倍に変更する方法を説明します。Nw 筐体機では本体後ろのファンのそばに CPU があります。(実際にはヒートシンクで覆われている。) マザーボードの表側、CPU のそばには 1L1 と書かれたランドがあり、そこに 0Ω抵抗が付いていると思います。これを外すと、逓倍率が 2.5倍から 2倍に変更され、先の改造と合わせることで、160MHz で動くようになります。
参考 Nw133 の場合は逆に 1L1 の部分を半田でショートさせれば、66.6 * 2.5 = 166MHz で動作させることができるかもしれません。(が、倍率を変更するよりも、80 * 2 = 160MHz の方が良いでしょう。)
クロックジェネレータの基準発振用の水晶発振子を別の周波数のものに交換することを俗に「原発乗っ取り」といいます。
基板の表側には 14.318MHz の水晶発振子が3つありますが、このうち基板のほぼ中央にあるのがベースクロックの周波数を決める水晶発振子です。これをさらに高い周波数のものに交換することで、クロック周波数を上げるわけです。
私の Nr150/S20 では、15MHz(ベースクロック 83.8MHz)に交換してみました。16MHz(ベースクロック 89.4MHz)に交換した場合は Windows の起動中にハングアップしてしまいました。Nw 筐体機は、ベースクロックのオーバークロック耐性はあまり高くないように思われます。
実際の作業方法は・・・交換するだけですので、説明するまでもありませんね。
データシート: sc484.pdf (93,845bytes)
このデータシートは IMI の Tech Support からダウンロードしたものですが、現在はダウンロードできません。
以下はオーバークロックする際に参考となるデータを、データシートから抜粋したものです。
SC484 のピン配置 |
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まだありません。